停電時に太陽光+蓄電池で何日もつ? 季節・天気・容量ごとに解説

太陽光発電や蓄電池をご検討中の方から、「停電したとき、実際どのくらい電気が使えるのか」というご質問をよくいただきます。この記事では、3~4人家族のご家庭を想定して、季節・天候・容量別に蓄電池だけの場合と、太陽光発電を組み合わせた場合で災害時など停電が何日しのげるのかを試算・解説します。
【先に結論】太陽光+蓄電池は停電時にどれくらい持つ?
・太陽光を組み合わせれば、停電時も晴れている限り電気を使い続けられる
・蓄電池だけでは冷暖房を使う夏と冬は1日前後しかもたない
・厳しいのは冬の曇雨天。この条件でどれだけ余力を持たせるかが容量選びのポイント
・停電中に太陽光で充電できるかは、パワーコンディショナと蓄電池の構成で決まる
電気が使える日数計算の前提環境
数値は以下の条件で計算しています。ご家庭の状況によって結果は変わりますので、目安としてご覧ください。
- 世帯:4人家族(戸建て住宅)
- 地域:東京・神奈川(南向き・傾斜30度の屋根を想定)
- 太陽光発電:4kW
- 蓄電池:約5kWh/約10kWh/約16kWhの3区分でそれぞれ試算
- 蓄電池の構成:全負荷型・ハイブリッド型パワーコンディショナ
- 使い方:停電時を想定し、必要な家電に絞った節電運用
- 停電開始時:蓄電池は満充電の状態
※全負荷型蓄電池・ハイブリッド型パワーコンディショナについて
蓄電池のカタログ容量と実際に使える容量の違い
蓄電池のカタログに書かれている容量は「定格容量」です。ただし、実際に使える電気の量はこれより少なくなります。バッテリーを保護するために、一定の残量を残す設計になっているためです。
機種によって異なりますが、実際に使えるのは定格容量の8〜9割程度と考えてください。この記事では85%として計算しています。
| 定格容量 | 実際に使える容量(目安) | 容量イメージ |
|---|---|---|
| 約5kWh | 約4.3kWh | 必要最低限の家電を1日 |
| 約10kWh | 約8.5kWh | 標準的な家庭の1日分 |
| 約16kWh | 約13.6kWh | 冷暖房を使っても1日以上 |

蓄電池.jpg)

停電時に使う家電と消費電力
停電時にどのくらい電気を使うのかを把握するために、まず家電ごとの消費電力を確認します。
| 家電 | 消費電力 | 停電時の使い方 |
|---|---|---|
| 冷蔵庫 | 約250W(運転時) | 24時間稼働。開閉を減らす |
| LED照明 | 約10W(1基) | 必要な部屋のみ点灯 |
| 液晶テレビ | 約100W | 情報収集のため数時間 |
| スマートフォン充電 | 約10W | 家族4人分 |
| Wi-Fiルーター | 約10W | 24時間稼働 |
| 電子レンジ | 約1,000W | 1回数分の短時間 |
| エアコン(冷房・10畳) | 約580W | 夏は使用時間が長い |
| エアコン(暖房・10畳) | 約660W | 冬は冷房より消費が大きい |
注目していただきたいのは、エアコンの消費電力です。照明・テレビ・スマートフォン充電をすべて合計しても100W台ですが、エアコンは1台で600W前後。停電時にエアコンを使うかどうかで、電気の持ちは大きく変わります。
季節による家庭1日の消費電力量の違い
前項の表をもとに、節電運用をした場合の1日あたりの消費電力量を季節別に計算します。春と秋は冷暖房を使わない前提、夏は冷房を8時間、冬は暖房を10時間使う前提です。
| 季節 | 1日の消費電力量 | 内訳 |
|---|---|---|
| 春・秋 | 約3kWh | 冷蔵庫・照明・テレビ・通信・調理 |
| 夏 | 約8kWh | 上記+冷房8時間(約5kWh) |
| 冬 | 約10kWh | 上記+暖房10時間(約7kWh) |
冷暖房を使わなければ1日3kWh程度で済みますが、冬に暖房を使うとその3倍以上になります。
季節・天候による太陽光の発電量
東京で1kWの太陽光パネルが発電する量は、年間で約1,160kWh、1日平均にすると約3.2kWhです。ただしこれは晴れの日も雨の日も含めた平均値で、実際の発電量は天候によって大きく上下します。
よく晴れた日は1kWあたり4〜5.5kWh程度、曇りや雨の日は1〜2kWh程度まで落ち込みます。また冬は日照時間が短く太陽の高度も低いため、同じ晴天でも夏ほどは発電しません。
| 季節 | 晴れ | 曇り・雨 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 春・秋 | 約20kWh | 約6kWh | 1年で最も発電する時期 |
| 夏 | 約18kWh | 約6kWh | 高温でパネルの効率が下がる |
| 冬 | 約15kWh | 約4kWh | 日照時間が短い |
※東京の月別発電量データ(1kWあたり年間約1,160kWh)をもとにした試算です。屋根の向き・傾斜・周辺環境・パネルの種類により変動します。
蓄電池だけの場合は停電時に何日もつのか
まず、太陽光発電がなく蓄電池だけの場合を見てみます。発電による補充がないため、満充電の電気を使い切ったら終わりです。
| 季節 | 約5kWh | 約10kWh | 約16kWh |
|---|---|---|---|
| 春・秋 | 約1日 | 約2〜3日 | 約4日 |
| 夏 | 半日程度 | 約1日 | 約1〜2日 |
| 冬 | 半日以下 | 約1日 | 約1日強 |
冷暖房を使わない春や秋であれば、大容量の蓄電池で4日程度しのげます。しかし冷暖房が必要な夏と冬では、16kWhの大容量でも1日前後です。台風15号のような2週間規模の停電には、蓄電池だけでは対応できません。
太陽光パネル+蓄電池の場合は停電時に何日もつのか
次に、太陽光発電4kWと組み合わせた場合です。日中に発電した電気で蓄電池を充電できるため、状況が大きく変わります。
考え方はシンプルで、1日の発電量が1日の消費量を上回っていれば、蓄電池の残量は減りません。つまり理論上は停電が何日続いても電気を使い続けられます。逆に発電量が足りない日は、不足分を蓄電池から取り崩すことになります。
| 条件 | 約5kWh | 約10kWh | 約16kWh |
|---|---|---|---|
| 春秋・晴れ | 継続可能 | 継続可能 | 継続可能 |
| 春秋・曇雨 | 継続可能 | 継続可能 | 継続可能 |
| 夏・晴れ | 継続可能 | 継続可能 | 継続可能 |
| 夏・曇雨 | 約2日 | 約4日 | 約7日 |
| 冬・晴れ | 継続可能 | 継続可能 | 継続可能 |
| 冬・曇雨 | 1日未満 | 約1日 | 約2日 |
※「継続可能」は、1日の発電量が消費量を上回り、蓄電池の残量が減らない状態を指します。実際には連日の天候によって変動します。
晴れている限り、蓄電池の容量に関係なく電気を使い続けられる

晴れている限り、蓄電池の容量に関係なく電気を使い続けられます。冬の晴天でも、4kWの太陽光があれば1日15kWh発電するため、暖房を使った10kWhの消費を上回ります。
問題になるのは、曇りや雨が続いたときです。特に冬の曇雨天は、発電量が1日4kWhまで落ちる一方で暖房に10kWhを使うため、毎日6kWhずつ蓄電池が減っていきます。この条件では、10kWhの蓄電池でも1日程度しか持ちません。
つまり「太陽光があれば安心」と単純には言えません。天候が崩れたときにどれだけ余力を持てるかが、容量選びのポイントになります。
停電中に太陽光で充電できる設備の構成
ここは意外と知られていない、重要なポイントです。停電中に太陽光パネル+蓄電池で電気を充電・電気を使うには前提となる設備構成を確認する必要があります。

パワーコンディショナ
太陽光発電には「自立運転機能」があり、停電時でも発電した電気を使えます。ただし一般的なパワーコンディショナの自立運転は、専用コンセント1か所・出力1,500W程度までという制限があります。この状態では家中のコンセントは使えず、蓄電池への充電も制限される場合があります。
一方、ハイブリッド型のパワーコンディショナと全負荷型の蓄電池を組み合わせた構成であれば、停電中も通常に近い形で発電し、その電気で蓄電池を充電しながら家中に供給できます。
この記事の試算表は、後者の構成を前提とした数値です。すでに太陽光をお使いで蓄電池の追加をご検討中の方は、お使いのパワーコンディショナがどちらのタイプか確認しておくことをおすすめします。


参考施工事例:神奈川県小田原市 ニチコンT5 7.4kWhの全負荷ハイブリッド蓄電池
蓄電池:全負荷型と特定負荷型の違い
蓄電池には停電時に使える範囲が異なる2つのタイプがあります。
| 項目 | 全負荷型 | 特定負荷型 |
|---|---|---|
| 使える範囲 | 家中のコンセント | あらかじめ決めた範囲のみ |
| 200V機器 (エアコン・IH) | 対応(機種による) | 原則使用不可 |
| 停電時の快適性 | 普段に近い生活ができる | 部分的な電気活用 |
| 本体価格 | 特定負荷型に比べると高い | 比較的安い |
この記事の試算は全負荷型を前提にしています。特定負荷型の場合、そもそもエアコンが使えないため夏と冬の消費電力量は小さくなりますが、その分、停電時の暮らしは制限が出ます。
停電を長引かせないための使い方
同じ設備でも、電気の使い方しだいで持ちこたえられる日数は変わります。基本は太陽光が発電している日中に電気を使い、夜の消費を抑えることです。
発電している時間帯に電気を使う
太陽光が発電するのは日中です。洗濯や調理、スマートフォンの充電など、電気を使う作業はできるだけ10時から14時の間に済ませてください。この時間帯に使った電気は、蓄電池を減らしません。

夜間の消費を最小限にする
夜は蓄電池の電気で過ごすことになります。照明は必要な部屋だけにし、使っていない家電のプラグを抜いてください。家全体の待機電力は30〜50W程度あり、1日では1kWh前後になります。
冷暖房の設定を見直す
冷房は設定温度を1〜2度上げるだけで消費電力が1割前後変わります。扇風機との併用も効果的です。暖房は消費が大きいため、1部屋に集まって過ごすほうが結果的に電気を節約できます。
調理は電気以外の手段も使う
電子レンジや電気ケトルは短時間でも消費電力が大きい家電です。カセットコンロを併用すれば、その分の電気を照明や冷蔵庫に回せます。
更に電気自動車+V2Hがあれば使える電力量が大きく増加


更に、電気自動車の駆動用バッテリーは30〜80kWh程度と、家庭用蓄電池の数倍の容量があります。V2H機器を設置していれば、この電気を家庭へ供給できるため、停電時に使える電力量が大きく変わります。
太陽光で発電した電気を昼のうちに車へ充電し、夜はそこから家に戻すという運用も可能です。
まとめ
- 蓄電池だけでは、冷暖房を使う夏と冬は1日前後しかもたない
- 太陽光を組み合わせれば、晴れている限り電気を使い続けられる
- 厳しいのは冬の曇雨天。この条件でどれだけ余力を持たせるかが容量選びのポイント
- 停電中に太陽光で充電できるかは、パワーコンディショナと蓄電池の構成で決まる
ご家庭の電気の使い方によって、必要な容量は大きく変わります。ワンエナジーでは、現在の電気使用量をもとにした光熱費シミュレーションを無料で作成しています。停電時にどのくらいの備えが必要かも含めてお気軽にご相談ください。
試算に関する注記
本記事の数値はすべて試算であり、実際の発電量・消費電力量を保証するものではありません。屋根の向きや傾斜、周辺の建物や樹木の影、パネルやパワーコンディショナの種類、ご家庭の電気の使い方、気象条件により結果は変動します。
